言語を学ぶ上で一番最初にマスターすべきところは、“聴く”です。前のエッセイにも書いたように、私たちは生まれたらまず聴くことを習得します。赤ちゃんはお母さんが何をいっているのか?じーっと耳を傾ける。泣いたり、わめいたりしながらだんだんとお母さんの言っていることがわかるようになります。
”先生、英語のCDを聴くだけで英語が話せるようになるって本当ですか?“
これは何千回と聞かれた質問です。もちろん聴けるようにすることはコラムで述べたように最優先事項です。まずは発話ができる前に、相手の言っていることを理解することはます最初のステップです。これはサイレントピリオドと言われ、赤ちゃんがお母さんのいう事をじっと聞いて、最初はわからなくともだんだんと理解できるようになる!そう、まさにそれです。しかし、ただBGMのように聞いていてもあまり意味がありません。
1. 聴いている英語の意味がわかるか?
意味が全く分からなくてもただのBGMになってしまいます。聴く素材の理想的なレベルは60%から80%くらいなんとなくていいですから意味が理解できるものが理想です。あまり簡単すぎてもいい練習にはならないです。こういう意味かな?となんとなく理解したら、文字をみて確認しましょう。意味をきちんと確認してからもう一度聴くとちゃんと聴こえますよ。英語を聴きっぱなしで終わってしまうと効果があまり感じられないと思います。文字で確認ができるものをできるだけ選びましょう。
2. できればそのスクリプトを音読してみる。
ボーッと聞いてないで文字を追ってリピートしてみること、またはシャドーイング(あとを追いかけてリピートする)などすると効果的です。こういう練習はスピ―キングにも繋がります。こうやって自分で音読していると、いつのまにかフレーズが頭に入り、自然と英語がでてきたりします。もちろん意味を理解しておくことは先ほど述べたように大切です。
3. 一方通行ではなく実際に英語が話される環境に身をおく。
一人で一方的に英語を聴いているばかりでは力がつきません。できるだけ英語を使う機会を作り、相手のいっていることをわかるようにがんばりましょう!この場合できれば外国人を見つけましょう。そこで大切なことは、理解できないのにわかる”フり“をしないことです。
I beg your pardon? (もう一度いってください)
Can you say that again?
Sorry, can you speak more slowly?(すみません、もう少しゆっくりお願いします)
Sorry, I am not good at English, can you put it in easier way?(すみません、あまり英語得意ではないのでもう少し簡単なことばでいってもらえませんか?)
などと勇気を出していってみる。
そして“恥ずかしがらない!” “わからないことを恐れない”ことです。日本人は恥ずかしがりやで、完璧主義の人が多いですが、そこは恥ずかしさを捨ててチャレンジしてください。
間違えを繰り返しながら上達していくのです。
4. 何を聴くか?
何を聴く素材として選ぶか?大事な問題です。レベルにもよりますが、インターネットでも多くのフリー教材が出ています。上級者などですと、iTunesのpodcastingなどに様々な聴く素材がありますよね。CNN, BBC news, TED talks.. ただここにはスクリプトがないので本当に自分が聴いて理解した内容でよいのか心配になりますよね。できればネーティブや英語上級者をつかまえて、この内容でいいのか?と聞くのもいいかもしれません。
大学でも学生に紹介しているのですが Randall’s ESL cyber listening lab
というのがお勧めです。これはアメリカの大学の先生が公開しているものでeasy ,medium, difficultとレベルが分かれて、簡単なcomprehension quiz(理解確認のための問題)もあり、更にいいことに、scriptが読めることです。何を言っているのかチンプンカンプンでも文字で確認できるわけです。Easy レベルでも決して侮れません。かなりナチュラルに話していますし、子供が登場したり(これがわかりにくい)、雑音が入っていたり(これもわざとです)なかなか聞きがいがあります。
5. 聴いたらどうするか?
最後に英語を聴いたらどうするか?という点に触れたいと思います。実は大学でも学生たちに課しているのですが、いわゆるジャーナルを書くのです。これは相当力がつきます。
1聴いた日時 2.何を聞いたかタイトル 3.URL, そのソースの名前。DVD,〇〇の本についているCDでもOK.4.サマリー(要約)これが大切 日本語でもOKですが英語だともっといい練習になります。簡単なサマリーでいいので自分の言葉でどんな話だったかを書いてみる。分からないところがあればそれも記述する。5.新しく目についた表現、単語なども書き出してみる。
できればそれを見せる機会をつくると長続きします。一人だけだとなかなか続きません。
とにかく慣れです。毎日5分でも10分でも構いません。続けることが大切です。聴くことは実はすべての基本です。頑張ってください。